大きな成長につながる小さな一手を見つける、マスターシード経営相談室です。
突然ですが、あなたはこんな経験はありませんか?
「よし、これを機に業務を仕組み化しよう!」と、時間とお金をかけて新しいシステムやルールを導入した。ワークショップを開いたり、担当者を決めて教育したり、やれることはやったつもりだったのに、数ヶ月、あるいは数年経ってみると…
結局、導入したはずの仕組みが全然回っていない。
「あの時作った仕組み、どうなったっけ…」と、うっと思い当たる節がある経営者の方、結構いらっしゃるのではないでしょうか。
せっかくの仕組みが「宝の持ち腐れ」状態になってしまう。これは、小さな会社が変化を起こそうとする際に非常によく見られる光景です。
では、なぜこんなことになってしまうのでしょうか?
なぜ、仕組みは「形骸化」してしまうのか?
先日、数年前に仕組み導入のお手伝いをした中小企業さんを久しぶりに訪問した際、まさにこの「仕組みの形骸化」という課題に直面しました。
話を聞いて見えてきたのは、主に3つの理由です。
一部の「キーパーソン」に仕事と負荷が集中している
小さな組織では、特定の経験豊富な社員や、リーダーシップのある社員に頼りがちです。新しい仕組みの推進役も、結局そのキーパーソンが兼務することになります。組織全体がその人に依存する構造が出来上がってしまいます。
キーパーソンの能力とキャパシティには限界がある
どれだけ優秀なキーパーソンでも、一人で全てを担うことはできません。日常業務に加え、新しい仕組みの運用、推進、トラブル対応…とタスクが積み上がり、やがてキャパオーバーになります。
仕組みを使い続ける「モチベーション」が維持できない
新しい仕組みを軌道に乗せるには、試行錯誤が必要です。
- 計画(Plan)して、
- 実行(Do)して、
- 評価(Check)して、
- 改善(Act)する。
このPDCAサイクルを回し続ける地道な努力が欠かせません。しかし、日々の業務に追われ、目の前の火消しに忙殺されていると、「仕組みを改善する」という中長期的なタスクに割く時間も、気持ちの余裕もなくなってしまいます。
結果として、仕組みは作ったものの、日々の運用がおろそかになり、いつしか誰も使わない「形骸化」した状態に陥ってしまうのです。まさに「宝の持ち腐れ」です。
仕組みを「定着」させるために、必要なのは「伴走」
では、この状況をどう打破すればいいのでしょうか?
結論から言うと、「仕組みを導入しただけではプロジェクトは終わらない」という認識を持つこと、そして「定着するまで丁寧に、一緒に汗をかく伴走支援」が不可欠です。
特に小さな会社には、仕組み化プロジェクト専任の担当者を置く余裕がない場合がほとんどです。だからこそ、外部の人間であっても、経営者や現場の一番近くで、文字通り「伴走」しながらサポートしていくスタイルが有効だと考えています。
具体的には、以下のような支援を心がけています。
導入「後」に寄り添うハンズオンサポート
新しい仕組みは、使い始めてからが本番です。現場での運用でつまずきやすい点、思わぬ課題。これらを早期に発見し、一緒に解決策を見つけ、定着するまで丁寧にサポートします。計画通りにいかない部分が出てくるのは当たり前。大切なのは、そこで立ち止まらず、一緒に乗り越えることです。
定期的なフォローアップとキーパーソンへのメンタリング
仕組みの鍵を握るキーパーソンは、多くのプレッシャーを抱えています。定期的に話を聞き、困り事を共有してもらい、精神的な支えも含めたメンタリングを行います。モチベーションを維持し、困難な局面を一緒に乗り越える存在がいることは、プロジェクト継続の大きな力になります。
「作った仕組み」に固執しない柔軟な改善
最初に考えた仕組みが100点満点であることは稀です。むしろ、現場の声を聞きながら、よりシンプルに、より実行しやすい形に、柔軟に変化させていくことが重要です。完璧を目指すより、まずは小さく始めて、改善を重ねていく姿勢が成功の秘訣です。
小さな「変化の種」を、一緒に育てていきましょう
もちろん、このような丁寧な伴走支援は、短期で劇的な成果が出るものではありません。プロジェクト期間も、当初の想定より長くなる傾向があります。
なぜなら、小さな会社における「変化」は、大企業のような号令一発で全てが変わるものではないからです。それは、固い土壌に小さな種を蒔き、水をやり、光を当て、雑草を取りながら、少しずつ、根気強く育てていくプロセスに似ています。

どうしても目の前の日常業務が優先されがちな小さな会社だからこそ、この「育てる」という視点が重要になります。
「仕組み化」は、会社を強くし、未来を作るための大切な投資です。しかし、それは導入して終わりではありません。定着させ、血肉にしていくプロセスまで含めてプロジェクトです。
もし今、あなたの会社に「宝の持ち腐れ」になっている仕組みがあるなら。あるいは、これから新しい仕組みを導入しようと考えているなら、
ぜひ、定着までを見据えた「伴走」の視点を取り入れてみてください。私たちのような外部のサポーターをうまく活用するのも一つの手です。
一緒に、あなたの会社に小さな「変化の種」をまき、焦らず、諦めず、そして丁寧に、育てていきましょう。
