商工会議所青年部の研修委員会に所属し、人手不足に悩む経営者のためのセミナーを企画してきました。
ゲームを使ったコミュニケーション研修や、ChatGPTによる生産性向上、ストレングスファインダーによる個々の強みを生かす経営など、楽しくて、役に立つ研修を企画できたと思います。
今年度の総まとめとして、最後は有名な経営者を呼びたい。
ワークライフバランスなど、従業員を大切にする社内制度を取り入れて、多くの表彰を受けたり、各所から取材されておられる兵庫ベンダ工業株式会社の本丸社長をお呼びすることができました。
「経営者のための人的資本経営への改革」と題して、様々な社内改革をお話しいただきました。
どん底から生き残れるのか?
改革断行が会社を救う
本丸社長が母親が経営する当社に入社したのは、経営状況がどん底のタイミングでした。
リーマンショックの後で経営数字は悲惨だったそうです。
高齢の同族役員が多く、役員報酬による固定費が重たい。
それだけでなく、役員による不明瞭な支出も多く、会社は完全に傾いていたそうです。
当然社員のモチベーションも低かったことでしょう。
まさに身を切る改革からスタートしました。
同族の役員との決別。そして決算書を社内に公表すると言うガラス張りの経営。お金の流れが見える化され、従業員のモチベーションが上がることによって、モチベーションも向上しました。
将来、生き残れるのか?
ベンダ=曲げ加工を主軸とする製造業である当社。主な受注は公共事業から。
ところが公共事業には波があるため収益性が安定しません。
また、この先日本は少子高齢化が続くので、人材不足は深刻になります。
若者が働きたがらない製造業の生き残りは厳しい。
その危機感を持った本丸社長は社内改革に踏み切りながら、多角化により新規事業をどんどんと立ち上げます。
会社を変えた3本の矢とは
兵庫ベンダ工業株式会社は、いったい、どんな対策を実行したのでしょうか?
3本の矢を放ったとのことですが、この順番も重要だといことです。
1. 個の多様性
半X採用
パラレルキャリア、つまり他の仕事をしながら当社に関わってもらうような人材に多く参加してもらっています。
中小企業には多様な優秀人材を雇う財力が無いので、他企業と人材のシェアをしているとのこと。
リカレント、リスキリングを推奨
学びの補助のスケールが違います。
たとえば、大学院で学び直したいと言う従業員には学費を出したり、通学に要する時間も含めて、なんと勤務時間として認めたりと手厚くサポートしています。
一見、経費のムダのように思えるかもしれませんが、多様た人材、広いネットワークづくりにより、ゆくゆくは新し事業につながることもあるそうです。
2.社内制度改革
経営の見える化
年功序列を廃止し、業績連動の賞与等、モチベーションを高める制度をつくりました。
子供教育手当
従業員の子供が習い事をしたらその費用を補助すると言う面白い取り組みにより子育て世代を引きつけています。
マーケティングと同じで限られた資源をどの世代に配分するかの選択と集中。
ニーズを徹底的に調べて、手厚くサポートしたい世代に集中的に投資しています。
3.組織の多様性
面接廃止
大卒の新卒採用及び中途採用のにおいては、なんと面接を行わないそうです。
コネ、飲み会、一芸、キャラクターによる採用のみ。
お互いを深く知ることにより、ミスマッチを防いでいます。
ここに書くことができるのはほんの1部ですが、社内制度の改革や様々なネットワークの活用により優秀な人材を獲得し、その才能によって映像やIT、さらには水産業にまで多角化を進めています。
積極的にネットワークを広げることで、つながった人脈から入社希望者も生まれているそうです。
ついには高校生から逆指名として入社したい会社に選ばれたり、親子で工場見学に来るなど、魅力的な会社に変わりました。
ウチには無理なのか?
あきらめる前に
「こんな話を聞いても、ウチには無理だよ」
そんな声が聞こえてきそうです。
でも、この会社と同じことをする必要は全くありません。
それぞれの企業が「従業員が喜ぶ事は何か?」
「他社と違う取り組みはどんなことができるか」
と問いを立てることが重要です。
欲しいのは頼れる右腕
制度を改革したり、新規事業に必須のこととは?
やはり、じっくり考えたり調べたり、分析してまとめたりすることがとても大変ですよね。
兵庫ベンダ工業さんも、頼れる右腕がいたからこそここまでできたと本丸社長は強調します。
自社にそんな人材がいるのか、
「そんな右腕になるような人材はいないんだよ」
そうですよね。
優秀な人物と出会えるか、その人にずっといてもらえるか
なかなか難しいのは現実ですよね。
そんな時は社外の専門家を頼ると便利で実現性が高く、何より安心感があります。
右腕として、相談相手として、頼れる人物を探して会社の未来を一緒に作っていきませんか?

