危険なあきらめ:「うちはこんな会社だから仕方がない」??

最近、若手から悩みの相談を受けることがあります。

今までは管理職の方からの相談、特に若手の育成について、特にジェネレーションギャップについて悩んでいる相談が多かったのですが、最近では傾向が違ってきています。

若手からの、上司に対する不満が聞こえてきました。

△上司のスキルに対する不満

これはそんなに多くは無いのですが、上司が経験とカンに頼って仕事をしているのが、部下にとっては納得がいかないと言う事例がありました

✕上司の考え方や行動についての不満

若手が成長して、仕事や会社全体、社会がわかってくるほど、上司の行動に違和感を覚えるようです。

目次

上司の姿≒職場の姿

若手に愛想を尽かされる?

若手にとっては、普段見ている上司の姿は、職場の姿そのものです。

そして、もし会社がその上司の姿を「あの人は昔からああだから、仕方がない」と認めてしまうと、若手にとっては上司の姿≒会社の姿と捉えることになります。

その姿に幻滅してしまうと、当然のこと、離職してしまうこともあり得るわけです。

せっかく獲得できた、しっかり育てて将来を任せたい優秀な人材です。

こんなことで失うのは、会社の将来にとってどれだけのダメージでしょうか?

つい、口ぐせになっていませんか?

「うちは、こんな会社だから」

「あいつは仕事ができるから、任せている」

「他にやれる人がいないから仕方がない」

社長の口ぐせになっていませんか?

あなたがこんなことを口にしていると、他の従業員が少しずつ同じ考えに染まっていきます。

そして、組織の中で考え方のクセがどんどん似てくる。

これを「社内文化」といいます。

文化は「あきらめ」の積み重ねで作られる

このように、心の中では「何か違う」「困ったな」という行動の一つ一つについて、それを改めずに放置していると、いくつもの「あきらめ」を生みます。

「うちって○○な会社だよなあ」

従業員の心の底にある会社の姿、それが文化です。

そして、従業員の皆さんは、その文化から ハミ出そうとはせずに、その枠に収まるように仕事をします。

そうすることで、その文化がより強いものとして、動かしがたいガチガチの思考のクセ、行動のクセを作り出します。

さて、このまま放っておいても良いのでしょうか?

大掛かりなプロジェクトの前に、できることがある

それでは、どうすれば文化を変えていけるのでしょうか?

多くの経営者がこの重要性に気付いて、会社を変えるために動いています。

私のような多くのコンサルタントが、それをサポートしています。

トップダウンで、変革を仕掛けるのが王道です。

多くの会社で整備されているM・V・V

M・V・Vというのをご存知でしょうか?
ミッション、ビジョン、バリューの略です。

あらゆる制度、戦略を作る際に、まずはこれを明確にしてから始めるのが効果的とされています。

それだけ、会社の未来を左右するものですから、パッと思いつくだけで決めることもできません。

専門家と一緒に社内のメンバーを巻き込んで、大掛かりに作っていきます。

理想的だけど、大変なんです

この方法は王道なので、最優先としてお勧めはします。

ですが、コストも時間も人員も必要なので、なかなか腰が重いことだと思います。

では、そのままでも良いでしょうか?

今まで通りのマネジメントを続けますか?

経験や人間性だけを頼りに組織運営を続ければ、自然と文化が変わっていくでしょうか?

小さく始められる、シンプルな方法とは

大掛かりにMVVを作ることができない場合でも、地道に文化を変えていくことができます。

そのためのステップをお伝えします。

1.言葉にする

どんな社内文化(考え方や行動のクセ)だと、組織が最も力を発揮できるでしょうか?

まずは理想を描いてみましょう。

たとえば、

「相手の話を最後まで聴く」

「一方向からだけでなく、いろんな角度から物事を考える」

「できない理由を言わずに、どうすればできるかを考える」

など、必要とされる考え方や行動はたくさんあると思います。

2.絞り込む

その中で、一番重要なもの一つに絞り込みます。

多くのキーパーソンに共通して足りないことは、何でしょうか?

それを実行できれば組織が大きく変わりそうなことは、どれでしょうか?

上記1.が難しい場合、この2.からスタートしてもかまいません。

今現在の文化を言葉にして、そのまま裏返して表現するとわかりやすいかもしれません。

3.実行する

絞り込んだ考え方・行動について、なぜこれが大事なのか、どうなってほしいかを従業員に説明し、全員で取り組みを始めます。

段階的に進めるなら、

①まずは社長から

②役員→管理職 →監督職

③従業員全員へ

この順番に、実行していきましょう。

4.検証する

理想通りに行動できたかどうか、定期的に振り返ります。

毎日が理想ですが、少なくとも週に一度は振り返ります。

個人単位でも良いのですが、できれば同じレベルの役職同士がよいでしょう。

うまくできなかったことも、さらけ出して前を向いていきましょう。

(開き直って真面目にやらない、とはちがいますよ)

成果を出す人のマネをする

コンピテンシーとは

成果を出す人の考え方と行動のクセを分析して言葉にしたものがを「コンピテンシー(行動特性)」と言います。

コンピテンシーは本やウェブサイトで多く紹介されていますので、上記1.でたくさん言葉にできなかった場合は、一般的なコンピテンシーを参照してもいいですね。

評価制度に取り入れる会社も多く、それは別途ご検討されても良いとおもいます。

積み重ねて文化を作る

たくさんあるコンピテンシー全部を追いかけることは大変です。

先ほど述べましたように、まずは重要な一つについて、徹底的に行動してみましょう。

経営者であるあなた自身が率先して行動することで、従業員の皆さんの行動につながっていきます。

1つ1つで大丈夫なのか不安になるかもしれませんが、この積み重ねが文化を作ります。

多少ぎこちなくても

理想は、お互いに行動をほめたり指摘したりすることです。

社長自ら、声をどんどんかけていきましょう。

できているときは、具体的に褒めます。

できていないときは、放置せずに、その場でほめます。

考え方と行動のクセは、すぐには治りません、

地道に、地道に。

じっくりと続けていきましょう。

きっと会社の文化が変わります。

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!
目次
閉じる