先日、中川政七商店の会長である中川政七さんの講演会に参加しました。
兵庫県の明石市商工会議所青年部のイベントでした。地元の商工会議所青年部の皆さんに誘われて、「有名人だから」「面白いことをしている人だから話も面白そう」そのくらいの軽い考えで参加してみました。
ところが、内容はとんでもなく素晴らしいものでした。多くの学びがあったので、ここで少しご紹介したいと思います。
組織の悪循環の解決策とは
利益をおびやかす、組織の病
突然ですが、あなたの会社では以下のようなことが起こっていませんか?
- 従業員のやる気が下がり、パフォーマンスも下がっている。
- 組織内での対立が目立ち、助け合いが不足している。
- 顧客にとっても魅力的なサービス・製品を提供できていない。
そして、1に戻る。。以降、その繰り返し。。
今はそんなことをしている場合ではない
今は円安や原料価格の高騰が続き、コストが増加している状況です。
また、少子化の加速により人手不足の状況はますます大変になってきます。社員はすぐにやめるし、採用をかけてもなかなか人が集まりません。
これを乗り越えるためには、まず社内の生産性を徹底的に高め、そこで生まれる時間を使って、やりがいのある魅力的な仕事をすることが大切になります。
それによって、差別化による付加価値の高いサービスや製品を自社に共感してくれる顧客に提供する。これをしないと業績はどんどん右肩下がりになってしまいます。
ビジョン作りによる解決
組織の課題を解決するためには、いったいどうすれば良いのでしょうか?
今回の講演では、そのヒントがたくさん得られました。
答えは、「ビジョンを作る」。
ビジョンとは組織の最上位概念です。つまり、意思決定において何よりも優先されるもの。例えば、利益を取るかビジョンを取るかと言う局面においては、迷いなくビジョンを取ると言うことになります。
ビジョンを生みだす問い
では、どのようにしてビジョンを作れば良いのでしょうか?
以下のように問いかけをしてみましょう。
Q「何のために事業をするのか?」
A「利益を上げるため」
Q「何のために利益を上げるのか?」
A「会社を存続させるため」
Q「何のために存続させるのか?」
このように問いかけを続けていくと、最終的にビジョンが見えてきます。
とは言え、答えが出ないこともあります。
しかし、ここは我慢強くしっかりと考えて向き合うことで、会社が変わります。
場合によっては専門家の助けを借りながら、じっくりと取り組んでみてください。
ビジョン策定のメリットとは
3つのメリット
「ビジョンづくりなんて、あまり意味が無いのでは?」
本当にそうでしょうか?
ビジョンがあると、以下のようなメリットがあります。
- 経営判断が楽になる。利益よりも上位の概念なので、常にビジョンを優先して行動することができるから。
- 従業員にとって旗印となる。会社のベクトルがそろい、社員のモチベーションが高まる。
- 会社のファンが内にも外にも増える。組織にビジョンが浸透することで、外部へのメッセージになる。そのビジョンに共感した人がファンになる。これこそがブランディングなのです。
1.経営判断が楽になる。
利益よりも上位の概念なので、常にビジョンを優先して行動することができるから。
何かを判断するときに、自動的にビジョンに沿っているかを判断軸にすれば、迷わずに即断即決できます。
2.従業員にとって旗印となる。
何のために行動するのか、社員にとってわかりやすい目印となります。
事業の目的や意義がはっきりすることで会社のベクトルがそろい、社員のモチベーションが高まります。
3.会社のファンが内にも外にも増える。
組織にビジョンが浸透することで、会社がかわり、そのこと自体が外部へのメッセージになります。
そのビジョンに共感した人がファンになります。他に無いオンリーワンな会社の存在。これこそがブランディングなのです。
CSVを意識したビジョン
従来の企業経営では利益追求と自己実現(社長の野望や理想)二軸で前進し、社会貢献については事業外で取り組むのが普通でした。
しかし今はCSV経営が当たり前の世の中です。つまり、利益追求、自己実現、そして社会貢献が一体となっている経営のことです。この3つを1つにつなぐ要となるのがビジョンです。
この状態は社内から見ても社外から見ても魅力的です。
まずはこのような経営をするのがスタートとなります。
ビジョンありき、デザインは後で
ここで初めてデザインの力を使うことになります。ビジョンに合ったデザインを使い上手に発信をする。これがブランディングです。小手先のデザインだけでは何も伝わりません。
企業のあり方(ビジョン)とデザインが一体になるからこそファンが増えます。
そしてそのための活動に外部から人が集まり、会社の一員として力を発揮することができます。この採用難の時代、都市から離れて人材が流出する地方であっても、ビジョンが魅力的な会社には人材がどんどん集まってきます。
中川政七さんはこう言っておられました。
「ブランディングの前に、まずは経営をしっかり行わなければいけない。経営がちゃんとできている中小企業はほとんどない」
彼は累計60社以上を手がけた工芸品専門の企業再生コンサルタントです。その彼の実体験からの言葉です。
現場の事業をしっかり振り返り、分析してこそ地に足のついたビジョン作りが可能になるのです。
経営分析からの課題抽出、ビジョンづくりからのブランディング。ここは私たち中小企業診断士の得意分野でもあります。
仲間にコピーライターやデザイナーといったビジネスパートナーがいますので、プロジェクトに参画することでワンストップでのサポート提供が可能です。どうぞお気軽にご相談ください。
会社を変える一方踏み出してみませんか?