成功する人事異動のチェックリスト

【いきなりですが、質問です】

  1. あなたはこれまでに、人事異動を何回経験してきましたか?
  2. ふり返ってみると、その人事異動はご自身のキャリア形成にどんな影響を及ぼしましたか?
  3. 異動を指示されたとき、異動した後、どんな気持ちになりましたか?

こうやって過去を振り返っていただければ、経営者のみなさんでしたら、なぜ今回のテーマをお伝えするのかを既にご理解いただけることと思います。

今回のテーマは人材管理の茶化の4回目。イ・・・異動です。

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目次

人事異動のメリット

人事異動というのは、非常に繊細なもの。うまくできるかどうかで、本人と組織のパフォーマンスは大きく左右されます。それどころか、本人の人生と会社の命運を変えることもあり得ます。

異動することで、能力が高まります。脱・井の中の蛙。

  • 他の組織・仕事を理解することで視野が広がる。
  • 新しい仕事を短期間で習得する必要があるため、柔軟性と学習能力が高まる。
  • 職務の幅が広がることで本人の能力そのものが高まる。

これらにより、従業員の多能化ができます。急な病気・ケガ・退職などにより誰かが働けなくなった時のためのリスク対策にもなります。また、異動による成長は同じ職場に居続けていては得られませんので、幹部候補に対しては計画的に経験させたいことです。

そしてもう一つ、大きなメリットがあります。

人材を輩出した職場では、残された人が成長します。特に、エース社員を異動させたときは大チャンス。残されたチームから、「次のエース」が育つ可能性が高いのです。

いずれにしても、人事異動は行き当たりばったりではなく、長期的な視点で考えて計画的に行いたいものです。

人事異動の注意ポイント

ところが、人事異動というのは本人にとっては大変な負担となります。仕事上もですし、ストレス・心に与えるダメージも大きい。しっかりとケアして本人や組織のパフォーマンスが下がらないようにしたいですね。

本人のタイプ的に異動に向いているかどうか、というのもありますし、会社が異動をどのくらい実施してきたかによって組織の耐性が違ってきます。異動があまりなかった組織においては、急に異動を頻繁に行うようになると混乱するわけです。これも組織の文化と考えられます。

本人が「なんで自分が動かないといけないんだ?」と不満を感じる。加えて組織の方にも教える・フォローする体制が無い。こんなことだと、「せっかく異動したのに、いつまでも成長しない」なんてことが起こるわけです。

そしてそのうち、会社の期待と現状とのギャップや慣れない職場環境に心を病んでしまい、離脱したり前のようなパフォーマンスを発揮できない従業員が増えてきます。本人だけでなく、それをカバーするために苦労を強いられる周りのメンバーのモチベーションにも影響してきます。

ですので、会社のルールとしてフォロー体制を作っておく、仕組化することが大切になります。なぜなら、フォローについては不十分なのに「自分はできている」と考えてしまっている上司もいるからです。「できているつもり」では意味がありません。個人による対応のバラツキをなくすため、チェックリストを用意します。これによって、以下のフローができているかどうかを確認するわけです。

フォロー体制のフロー

異動前の面談

元の職場の上司が異動の目的、期待値を伝える。懸念点が無いかを丁寧に聞き取る。

異動前の準備

異動者に対して教える・フォローする担当と方法を決めて体制を整えておく。

何より、歓迎ムードを作っておく。

異動後の面談

異動後2~3週間後に面談し、気持ちを聞き取り、具体的に支援する。

また、普段から毎日のように声をかけておくことも大切。

いかがでしょうか? 当たり前のようにできている上司はいるでしょうし、ほったらかしの人もいることでしょう。そのように上司個人の力量に組織のパフォーマンスを委ねてしまっても良いのでしょうか? 組織がしっかりと仕組み化すれば、上司にしても、淡々と実施しやすいはずです。

具体的には、

  1. 人事部などの管理部署が上司たちのガイドラインとしてチェックリストを作る。
  2. チェックリストに沿って実施してもらう。
  3. 決まった頻度で進捗を管理する。

ここまでやればより確実です。

まとめ

  1. 計画的な人事異動で組織を強くしましょう。
  2. 異動させっぱなしは×。組織的なフォローで異動者をしっかりケアして、本人と組織のパフォーマンスを高めましょう。
  3. フォローを仕組み化し、運用を管理しましょう。

本人にとってはチャレンジングな人事異動という体験。あなたも数々の人事異動を経験済みでしたら、その気持ちはよくわかると思います。これを乗り越えて従業員の誰もが幸せに働けるように、最高の異動体験ができる職場を作っていきましょう。

次回はいよいよ人材管理の茶化の最後、評価がテーマです。どうぞお楽しみに。

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