2022年、新型コロナによる消費の落ち込みによる売上低下と、ウクライナ危機による物価高騰による原価の高騰のダブルパンチに見舞われている企業も多いことと思います。そして、少子化により確実に下り坂を転がり始めた日本の労働者人口。平均して64万人の労働人口が毎年減り続けます。すでに人材不足は待った無しとなっています。
そんな難しい状況においても真剣に向きあわないといけないのが、今日のテーマ。
人材管理の「茶化」の3番目、ホ・・・報酬です。
今回は賞与や退職金ではなく、月々の給与を対象とします。というのも、賞与のような一時的な報酬では満足感が続かないことがわかっているからです。
経営にとってまず大事なのが商品やサービスの値決めですよね。粗利を何%にするかで収益は大きく変わるからです。もう一つ大事なのが給与の設計です。従業員の士気を大きく左右します。そして今の時代にとても難しくなりつつある人材の維持・獲得に決定的な要素だからです。
両方とも、一度決めると変えるのが難しいところが共通点ですね。
ポイント
- 士気を上げる給与設計の考え方は、頑張りが給与に反映されることと、不公平感がないこと。
- 他社に人材獲得競争で負けないために、労働市場と相場を意識すること。
士気
従業員はふだんから自分の給与を意識してばかりというわけではありません。人にもよりますが、昇給の時、それから人生のイベントの時にも意識することが多いと思います。「この収入で家族を幸せにできるか?」こんなことを考えてしまうタイミングなんです。
昇給の時には「昇給額」が示されます。この数字が自分の頑張りへの評価であると認識しますよね。大切なのは、なぜその数字になったかを丁寧に説明して納得感を与えること。
そして、昇給は会社がどれほど従業員の人生のことを考えているのかを具体的に示すチャンスです。
✕ 「今は会社も苦しいから、現状維持で我慢してくれ」と言われたら、あなたが優秀な社員ならどうしますか?
〇 「物価が上がっているから、生活が苦しくならないように給与を上げる。会社は苦しいけど、一緒にがんばろう!」と言われたら、どう感じるでしょうか?
他社との人材獲得競争
今の労働市場は大きく変化していることを考えなくてはなりません。完全なる売り手市場。特に優秀な人材ほど引く手あまたで、今までと違う賃金相場になりつつあります。少なくとも賃上げやボーナスに関する他社のニュースは確認して、相場を意識した給与を実現することは最低限の人材流出への防衛策になります。その上で、その従業員のライフプランに見合った金額を、頑張りに応じて納得感のあるかたちで与えることができるか?この給与体系設計こそが経営の生命線なのです。
防衛、それから攻勢
まずは今おられる従業員が辞めないために手を尽くしましょう。「人材管理の茶化」の全てが大事ですが、報酬は具体的で説得力が高いです。仮に外部から従業員を採用するとすると、採用コストと入社後に成果を出すまでの先行投資がどのくらいの費用になるでしょうか?そのまま定着してくれる保証もない。そう考えると、今の(優秀な)従業員が働き続けてくれる方がメリットが高いです。
その上で、どうしても採用が必要な時には相場を意識して動きましょう。
そうは言っても。。
理想的な話ばかりを書きました。みなさんは十分に理解しておられると思いますが、経営者として目指すべき姿だと改めて伝えたいからです。このような会社が増えると、従業員がハッピーになり、その地域経済も活性化すると信じているからです。
だからこそ、働き方改革とDX
「給与を今より上げるための原資はどこから出すのか?」 そうですよね。利益額を増やさないと、賃上げなんてできません。そのために付加価値を高めて安売りを止める、ムダな仕事を無くし生産性を高めるという活動を続けておられると思います。それこそが働き方改革。また、DXにより劇的な変化をもたらすことができる時代になりました。また、継続的な教育訓練・人材育成により一人一人のパフォーマンスを高め続ける。それによって少なく働き、多く稼ぎ、給与が上がる。そんな会社にしましょう。当方はそのために力を尽くすことを喜びとしています。
次回は、人材管理の茶化の4番目、イ・・・異動についてお伝えします。お楽しみに。