あっという間に春の気配。もうすぐ新入社員を迎える会社もあるかもしれませんね。
前にも伝えましたが、3年以内の離職率は4割前後。5人入った新人のうち、2人は3年以内に退職するのが平均値。そうわかっていながら研修して育てていくのはつらいものがありますが、考え方を変えてみましょう。
5人のうち3人は残ってくれる確率が高いんです。
また、これはあくまで全国の平均値です。
あなたの会社で社長の想いと従業員の意識が合ってイキイキと働ける環境を作れれば、
また、
個人個人の特徴を活かして成長させる人的資本経営を、本当の意味で実践できれば、
3年後に全員が働き続けている可能性だってあるわけです。
潮目が変わったどころではなく荒波が
人材不足の声が周りから聞こえるようになってきたのはここ数年ですが、ここ半年でのさらなる加速度に驚いています。
お付き合いの多い中小企業の経営者からの悲鳴。
新卒ではなく中途採用が中心ですが、以前なら難なく募集できていた有名企業でも苦戦するようになってきました。
どんな企業が選ばれるのか、今回は詳細には触れませんが、一言でいうと「自分が輝けるかどうか」を見られているようです。
選ばれる会社にするためにはどうしたらよいのでしょうか?
人的資本経営のジレンマ
仕事の標準化の限界
2000年頃からISO9001の考え方で社内統制を強めてこられた企業も多いと思います。
認証を取らない場合であっても、やっぱり「属人的な仕事(○○さんにしかできない仕事)」があると、組織はこまりますよね?
だから、マニュアルを作ったり、教育訓練の仕組みを作ってOJT(教えてすぐに実践させる教育方法)でスキルをつけさせることが一般的です。
ところが、組織によっては、ある仕事が他の人とはレベル違いに上手にできるAさんが、教えることが苦手だったりします。
また、その仕事をできるようになるようにと命令を受けたBさんはその仕事が苦手で、どうがんばっても上手にならない可能性だってあるわけです。
新しい考え方にシフトできるか
人的資本経営は、このAさんにもBさんにも最大限に輝いていただくために大事に育成していくという考え方です。
教えるのが苦手なAさんに任せるのではなく、他の手段で技術を継承できるか?
Bさんが苦手な仕事ではなく、最も輝ける仕事で力を発揮しながらも、どのように組織のスキルの危機管理(つまりAさんに何かがあったときにも仕事を止めない体制づくり)をするのか?
人材を個性の無い駒として見てしまうと、このような考え方はとてもできないと思います。
もちろん、チャレンジを全くさせないわけではありません。ですが、行動を起こす前に個性と能力をしっかり見極めてから人員配置や育成計画を作っていく、そんな緻密さが求められることになります。
成功体験をなかなか捨てられない
苦労して管理職になられた方は、それなりに努力をされてきたことでしょう。いろんな試練を乗り越えてきたはずです。
同じような苦労、あるいは自己研鑽や研修などの学び、それをつかって育成しようと思ってしまいますよね。
ここにもジレンマがあります。
学び方、感じ方にも個性があるからです。
そもそも、従業員はそれぞれ土台が違っていて、同じ研修を受けても受け取り方・理解度・実践するか・成長するか、それぞれ全然違うのが実態ですよね?
であれば、研修も個性に合わせた方がいいですよね。
仮に全員が同じ研修を受ける機会があったとしても、研修に送り出すときの声のかけ方、研修後のアフターフォローは個人個人違っていて当然です。
「俺は○○だったから」という成功体験を語る、いわゆる「武勇伝」を捨てられますか?
語ってはいけないわけではありませんが、相手の個性を尊重して、押し付けないように配慮しましょう。
個性に寄り添うには
「じゃあ、どうすればいいの?やってられないよ!」
わかります。少人数の組織ならともかく、ある程度の規模になってくるとそこまで対応しきれませんよね。
今、多くの企業で導入が進んでいるタレントマネジメントシステム(カオナビ、タレントパレットなど)を導入して個性や能力を見えるようにするのは、とても良いと思います。上司の主観的な判断から、データによる客観的な判断へのシフトです。
一方で、やはり大切なのが上司の関与です。
そしてその前に、経営者であるあなたがこの変化を理解し、対応していく姿勢を管理職にしっかり伝えることが重要です。
なぜなら、管理職のみなさんも個性が強いはずだから。画一的に部下マネンジメント力をつけさせようとしても失敗します。まずは、考え方の理解から。相手の個性を感じ・理解し・認めること。そこから始めてみませんか?
管理職の一人一人が変わる仕掛けとは
当方の管理職個別研修プログラムでは、基本的な部下との向き合い方やチーム作りを一人一人に学んでいただく中で、この人的資本経営の考え方をしっかりとお伝えしていきます。また、学ぶだけではなく実践のPDCAを回すことにより、管理職の変革を後押しします。対応できる人数はわずかですが、お早めにご相談ください。
少しずつ組織に変化が起こり、辞めにくい、採用しやすい会社となるように、これからも学びと実践を続けていきましょう。