春が近くなり、いよいよ新卒の新入社員が入社する季節になりましたね。
今は中途採用による入社も増えていますので、いつ「教える」「育てる」が必要になるかわからない時代です。しっかり準備しておきたいですね。
教え方や育て方がうまくいかないと、入社した人材が育たないばかりか、せっかく入社した人材がすぐに辞めてしまうことになります。
昔から日本人は教えるのが下手と言われていました。どうしても職人気質が抜けずに、いまだに「俺の背中を見てまなべ」と言う昭和の考えがしみ込んでいる先輩のみなさん、上司の皆さんが多いのが現実なんですよね。
新卒入社の3~4割は3年以内に退職してしまうと言われています。特にまだ若い世代は丁寧に教えないとすぐに辞めてしまいます。
即戦力なんて、いるはずがない
中途採用であっても、いきなり仕事ができるわけではありません。それはそうです。どの会社の仕事も同じと言うわけでは無いですよね。やはりどんな新人であっても丁寧に教えるということが必要といえます。
ここで、人材育成に関する衝撃的事実をお伝えします。
部下が仕事を覚えないのは教え方が悪いから。
え? なんで? 教え方が悪いから?
いくら教えても理解しないなら、新メンバー自身がわるくない?
そう思いますよね?
「教えたはずなのに、なんで出来ない??」
と心が折れそうになりますよね。
でも、先ほどの言葉は事実。教え方が良ければ、ゼロとは言いませんが、仕事を覚えられないなんてことをドンと減らせます。教える側のマインドチェンジが必要なんです。
教えるのに必要なの3つのこと
言葉にすれば簡単なことのように思えますが、とにかく実践が大事。しっかり身につけると、職場のパフォーマンスが上がることが期待できます。
- 教えるためのノウハウ
- お互いの粘り強さ
- 愛
今回は、1.をお伝えすることによって、そこに必要不可欠な2.3.のエッセンスが伝わると思います。多くの企業で取り入れられているノウハウですが、改めて、シンプルにお伝えします。
教えるためのノウハウとは
このノウハウはTWI監督者訓練のJIという講習において70年前、つまり戦後の昭和時代から(教えるのが下手な)日本の企業に伝えられているものです。日本の製造業を世界で戦えるレベルへ成長させた、真の要因だともいわれています。
実際には、すごく簡単なプロセスです。ですが、公式な訓練では10時間かけて学びます。なぜなら、「知っている」だけでは実行できないから。自然と教えられるまで、繰り返し身に染み込ませます。本気で取り組みたい方は、ぜひお近くで開催されている講習を受講なさってください。
今回は、要点だけをシンプルにお伝えします。
細かく分けて、無理のない量で、
はじめての仕事は、よくわからないことだらけですよね?
人間ですから。。
いちどに全部覚えられるわけなんてないですよね。
まずは、仕事をできるだけ細かいステップに分解してみましょう。
その小さいまとまり5つくらいが一度に教えられる、無理のない量だと思われます。
ここで言う無理のない量とは、1度におぼえて再現までできるボリュームと言うことです。
時間で言うと1分くらい、長くても数分程度で終わる作業を想定してください。
後でお伝えしますが、この作業を少なくとも6回は繰り返す必要がありますので、作業のまとまりが大きすぎると教える時間が長くなります。
そもそも、長すぎる作業だと覚えきれませんし。
教え方は3ステップ×2通り
2通りと言うのは、教える側がやってみせることと、その後に新メンバーにやってもらうという両方のアクションが必要と言うことです。
口で説明しただけではなかなかイメージできませんので、まずはやってみることが大事になります。
- 説明しながらやってみせる。
- ポイントを言いながらやってみせる。
- ポイントの理由を言いながらやってみせる。
これだけで、3回はやって見せているわけです。
その後に、新メンバーに実際にやってもらいます。
さあ、これだけ教えたので、もうできるようになったでしょうか?
まあ、そんな人もいるかもしれませんが、最初はできなくて当然です。
新メンバーには、以下の手順でやってもらいます。
- ポイントを言いながらやる。
- ポイントとその理由を言いながらやる。
- 何も言わずに、正しくやる。
間違えたりわからなくなったりしたら、そこで止めて、もう一度教える側が説明しながらやってみせます。
- 「分からなくなっても大丈夫」
- 「何度でも教えるよ」
- 「質問があれば、何でも訊いて」
とにかく丁寧に、丁寧に。心理的安全性を確保するように声をかけ続けます。
これが、教えるノウハウに続く、2.お互いの粘り強さ と、3.愛 が必要だと書いた理由です。
ここをじっくりやることで、確実に覚えてもらうという手法です。
「いつでも開いている」安心感
以上の教える手法は、昭和の時代から脈々と受け継がれてきたやり方です。実際にやり方を覚えるためには、効果的な方法だと考えられます。早く、確実に覚えてもらう。そのための手法ですが、教えた後も大事なんです。
大事なのはアフターフォロー
教えたばかりの作業を繰り返し使う仕事を与えることで、反復練習してもらいます。
そして、続ける中でわからなくなったときにどうすれば良いのかを伝えてあげます。できるだけ具体的に。
- 誰に訊けばいい?(できれば教えた人)
- その人はどこにいる?(○○事務所にいます、など)
- いつなら声をかけてもいい?(〇〇時まではいつでも、など)
これも心理的安全性を確保するためには大事ですよね。
「いつでも聞いて」と言ってあげる
若い人ほど、相手の時間を奪うことを嫌います。
電話をかける習慣がない、そんな若者が多いと言う話を聞いたことがありますよね。
「わからないときにはいつでも聞いていいよ」と繰り返し言ってあげれば、安心して働くことができます。若くなくても、相手の忙しさに遠慮して声をかけるタイミングを計りかねている人は多いと思うので、遠慮せずに声をかけてもらえるように最初に言ってあげましょう。
どうしても直接聞くのが苦痛だという人のためには、自分のタイミングで確認できる手順情報があると安心ですね。例えば次のようなものがあります。
動画マニュアル
若い世代ほど、YouTubeなどの動画で学んできました。わからなくなったら動画を見ると言うのは、彼らにとっては当たり前。動画マニュアルを提供してあげるのは非常に理想的です。
でも問題は、撮影や編集に非常に時間がかかることです。これが難しい場合は、上記の教えるステップを教えている状況を撮影して、後で見れるようにしてあげだけでも十分です。
ただし、後で見れば良いと言う思いがあると、なかなか覚えることができないと言うデメリットもあります。基本は口頭で「できるようになるまで教える」。動画は、いざと言う時の保険程度に考えておきましょう。
写真や文章のマニュアル
最低限、紙あるいはデータでのマニュアルは欲しいところですが、そのために執筆作業をするのは大変ですよね。
ただ、上記の教えるステップを言葉にするだけでマニュアルにはなります。分解したステップとポイントと理由を書き込めるような雛形を用意しておくと、教える準備をするだけでマニュアルができます。
雛形が必要な方はご連絡いただければ提供いたします。
そもそもマニュアルは、「教える側が手順を整理しておくための文書」というのがTWIの考え。
スムーズに教えるためにも、準備をしっかりしておきたいですね。
すべての仕事に応用可能
この手法は、製造業、飲食・サービス業などの手を動かす仕事のためだけのものではありません。
パソコンなどを使った事務作業においても、同じ手法で教えられます。
教える側にとっては、どんな仕事も単純。でも、新メンバーにとっては、複雑なのです。
まずは、何をどう教えるかを細かく計画し、手順を分解するところから始めましょう。
いかがでしたでしょうか。新しく入ってきた人に、とにかく丁寧に教える事は、早く独り立ちさせて即戦力になってもらうためにも大事なことです。
「今は忙しいから」とは言っていられませんよね。最初からしっかり教えて育てることによって、長く組織で働いてもらえる人材を作っていきましょう。
さっそく明日から準備に取り掛かりましょう。もうすぐ新メンバーは入社してきますよ。