その1 生産性を劇的に高める「会議革命」とは

今年もあっという間に過ぎそうです。もうすぐ忙しくなるという方、あるいはすでに忙しい時期に突入している方もおられるでしょう。

組織のパフォーマンスを最大化するには、従業員一人ひとりの心身のリフレッシュ(そしてできることなら研鑽)が不可欠です。会社に長時間いるようでは、それがかなわずにパフォーマンスが低下することは、すでに常識になりました。しかも、その疲れ果てた時間帯に働くと、残業代は割増賃金まで払う必要があり、とてもコストパフォーマンスが悪く非効率な投資です。

さて、あなたの会社の従業員は残業を減らしながら効率的に働いていますか?

日本の労働生産性が各国と比べてとても低いと言われて久しいですが、その一因として会議の数が挙げられています。そして、会議の数だけでなく開催時間も長い。そしてその準備にかける時間も長いことが生産性全体を下げる大きな要因になっています。あなたの組織にも、「会議に参加することが仕事になっている人」はいませんか?

その会議に要する時間を劇的に減らす方法を、私は勝手に「会議革命」と呼んでいます。

目次

会議革命の方程式

会議に要する時間は以下の数式で表すことができます。

(A +B + C) × D ×E
A=準備時間
B=会議時間
C=議事録を作る時間
D =会議の数
E=参加人数

注) これは概念的な数式です。正しい時間を把握する場合には会議ごとの時間=(A +B + C) ×E を算出してから合計する必要があります。

こうして出てきた時間に、時給単価をかけると、会議への投資金額となります。もちろん、役職等級の高い人が参加するほど投資金額が大きくなります。毎週、毎月、毎年、どれだけの投資をしていますか?

投資に見合う成果は出ていますか?

もしも答えが「No」だとしたら、会議時間を減らして、業績を上げるための付加価値の高い活動にその時間を使いませんか?

A~Eの数字をそれぞれ減らすための方法として、以下の内容をお送りいたします。

  1. 資料作りの職人はいらない
  2. 決められる会議に必要なこと
  3. 終了後にはできている議事録
  4. ほんとうは無くてもなんとかなる
  5. 目的によって決まる参加者

今回は先にDとEについてお伝えします。数式を見てお分かりの通り、これらを小さくすることが全体の数字を小さくするために一番効果的だからです。

ほんとうは無くてもなんとかなる

あなたの会社にはいくつの会議がありますか?社長ご自身が参加するものだけでなく、会社で開かれる定例の会議は全部でいくつありますか?まずはその把握が大事になります。社長がご存じない会議もたくさんあるかもしれませんね。業務時間の大半を会議に費やしている管理職の方がおられることに気付くかもしれません。

それぞれの会議の目的は何でしょうか?

  • 報告・情報共有(そして言い訳)
  • 議論・意思決定(承認を得るための通過儀礼)

そして、こう問いかけてみてください。

「もしもこの会議を無くしたとしたら、会社の業績が傾くだろうか?」

ECRSで考える

ECRSというカイゼンのためのフレームワークをごぞんじでしょうか?

  • Eliminate なくす
  • Combine まとめる
  • Rearrange 入れ替える
  • Simplify シンプルにする

会議にあてはまるとどうなるでしょうか?具体的に御社のひとつひとつの会議について考えてみてください。

いかがでしょうか?数を減らせそうな気がしませんか?

報告・情報共有は文書で伝える

特に、報告・情報共有だけであれば、メールやチャットで十分です。

2分で読んで理解できる内容を、10分もかけて聞く必要はないですよね?

  • 「これはどうなっているんだ?」
  • 「すみません、まだ進んでいません」
  • 「何をやっているんだ?」
  • 「次こそがんばります」

こんな会話を平気でしている会社もあります。

そう。時間の無駄ですよね?

承認や合意、フィードバックをもらいたいときは、メールへの返答を依頼するか、アンケートツールを使って意見を収集します。

議論・意思決定に会議は必要か?

もしも会議をどうしても開く必要があるとしたら、議論・意思決定のための会議でしょう。ただ、承認を得るための通過儀礼となってしまっていて、良い議論が行われていないのであれば、無意味です。

良い議論とは何でしょうか?

進めようとしている計画に関して、以下のようなポイントについて多方面から評価し、アイデアを出し、アクションプランを確定するために話し合うことです。

  • 方向性は間違っていないか?
  • リスクは無いか?
  • もっと早く、安く、効果を最大化するように進められないか?
  • リソース配分は適正か?
  • 会社としてどのようなサポートが可能か?

このように、「物事を前に進める」ための会議になっているかどうかを確認し、そうでない場合は思い切って別の方法で意思決定をしましょう。特に、深い議論は必要なくスピードを重視する場合、メールやチャットでの意思決定でも十分であることが多いです。

目的によって決まる参加者

やたらと参加者が多い会議もあるかもしれません。どのように参加者を減らせばよいのでしょうか?

議論できない人は外す

スティーブ・ジョブズが必要のない者を会議から追い出したという話は有名ですね。

前述した、「良い議論」に参加できない人は、参加させないというルールにしてみましょう。

会議中に黙って聞いているだけの人、いませんか?

一つの会議に同じ機能は二つもいらない

同じ部署から何人も参加している、なんてことはないですか?

多方面から物事を考えて、一つの結論をくみ上げていくわけです。同じ部署の人は、基本的には同じ方面から考えることが多いので、2人以上も会議に参加する必要はないですよね?

  • あの部署からも参加するなら、こちらの部署からも参加する
  • 質問されたときに困るから、それぞれ専門性があるメンバーを参加させておく
  • 会議内容を後で共有するのが面倒だから、部下も一緒に参加させる

上記のようになってしまっていないか、もう一度、参加メンバーの絞り込みをしましょう。

会議で育つ

ただ、育成目的で若手や自分の右腕を参加させることは有効です。

その場合は、ただ聞いているだけで良しとせず、しっかりと発言させましょう。必死で考えて発言し、質問されて頭が真っ白になり、議論に巻き込まれて心がズタズタになる。このように脳みそから汗をかく経験をしないと、成長しません。

上司の方は「俺が援護射撃をしてやるから大丈夫」と、背中を押して戦場に送り出しましょう。もちろん、上司が積極的に会議に参画して背中を見せることも大切ですね。


さあ、いかがでしょうか?DとEの数字をずいぶんと減らすことはできましたか?投資金額をどれだけ削減できましたか?業績を上げるための付加価値の高い活動にどれだけの時間を振り向けられそうでしょうか?

次回は、A~Cについて、つまり1回あたりの会議時間を最小化できる方法をお送りいたします。お楽しみに。

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