原料値上がりという大ピンチ!ホンモノの生産性向上で乗り越える。

2022年夏、多くの環境変化が経営に危機をもたらしています。長引く新型コロナウィルス感染症、ウクライナ危機、円安のトリプルショック。これだけではない多くの要因によりインフレと不況が同時に起こるスタグフレーションという最悪の環境に見舞われていることはここに書くまでも無いですよね。

そんな中、長年にわたって給与水準が上がらず、人材も資本も海外へ流出していきます。日本が「安い国」へと堕ちてしまうなんで、だれが予想したでしょうか?

経営環境においては、目の前の人材不足がじわじわと経営に影響し始めていることと思います。このブログでも何度も述べているように、これは日本の人口構造上、避けられない、待ったなし。

では、日本が再浮上するにはどうしたらよいのでしょうか?

目次

なぜ生産性向上で社会が変わる?

生産性を向上させて、従業員一人当たりの稼ぐ力を高める。少ない人口で日本が生き残るにはこれしかないと言われています。

それにより、以下のようなサイクルを作ることができるかどうか。

御社の成長と社会の成長はつながっていますので、まさに生産性向上=社会への貢献と言えますよね。

  1. 生産性を向上させて、従業員一人当たりの稼ぐ力を高める。
  2. その利益をしっかり従業員に還元する。
  3. 労働市場で優秀な人材を確保できる給与水準を維持できる。
  4. 従業員は安心して働くことができ、お金を地域で使う。
  5. 地域の経済が活性化する。

いかがでしょうか?あなたのビジネスが、社会を変えるために貢献度を高めている姿を思い浮かべることができますか?

そもそも、生産性ってなんのこと?

「生産性向上」と聞いて、何を思い浮かべますか?

  • 仕事の効率化?
  • DX?
  • AI?
  • 残業削減?

キーワードとしては間違ってはいないですが、そのものではないですね。。生産性の定義や計算方法にはいくつか種類があって難しく感じるかもしれませんが、つまりは従業員が使った時間あたりにいくら稼いだか、です。

したがって、分母は従業員の総労働時間となります。残業代を支給していない管理職の時間も含めます。

分子は、売上高、付加価値額、粗利とさまざまなパターンがあります。

ここでは付加価値額(営業利益+労務費+減価償却費)が一番わかりやすいですね。

A=付加価値額

B=総労働時間

C=生産性

とすると、C=A/B となります。

生産性を上げるには?

この式を見ると、2つの方法があります。

  1. 分母:B(総労働時間)を減らす。
  2. 分子:A(付加価値額)を増やす。

では、具体的に、どうすればよいのでしょうか?

1.総労働時間を減らす

一般的な生産性向上のイメージは、まずこれですよね。いかに効率的に仕事をするか?

今後は少子化で従業員数が減っていくことを考えると、今より少ない人数で成果を上げなければなりません。効率化は待ったなしです。

今も残業が多いという職場であれば、まずは残業ゼロを基本と考えなくてはなりません。残業の時間帯は従業員が疲れているのでパフォーマンスは落ちます。そんな時間帯に割増で残業手当を支払う必要があるため、費用対効果が大変低い労務費の使い方です。

まずは、「その仕事は絶対になくせないのか?」から初めて、仕事を整理します。それでも残る仕事に関して、知恵を出し合ってカイゼンをします。そして、DX。デジタルによる自動化で仕事の在り方をガラッと変えてしまいます。

効率化については、いずれじっくりお伝えしたいと思います。

注意点は、総労働時間を減らすために安易に人数を減らさないことです。

ある製造業の企業で、離職者が増えてしまいました。当初、事業所長は収益性が良くなったと喜んでいました。ところがお客様の引き合いに対応できる生産体制を組むことができず、機会損失。結果として売上が下がってしまいました。人数を減らせばよいわけではないのです。

効率化して、余剰となった人員を別の付加価値を生むための仕事に割り当てる。例えば人材育成、カイゼン活動、保守整備、研究開発、マーケティングなど。これが王道ですね。

2.付加価値を増やす

分母(=総労働時間)を減らすことにも限界があります。かといって、分子(=付加価値)を増やすことも簡単にはいきません。特に今は、原料価格の高騰により、原価が高くなっています。つまりそのままだと付加価値が減るばかり。

どうすればよいのでしょうか?

これは繊細で、単純ではない問題なのは理解しています。ですが、あえて単純にお伝えします。

「適正な販売価格にして、利益を確保する」

これしかないです。

原料価格高騰をまともにくらって、そのままガマンできますか?

まずは、原価計算を更新。そして適正化のために行動を。

原料費、動力費(水道光熱費)を最新価格に見直した時、粗利はいくらになっていますか?

「そうは言っても、値上げなんてすると、客が離れるよ」

はい。その通りです。

私はかつて購買調達バイヤーをしていました。コストダウンと安定供給体制の確保がミッションでした。値上げ交渉をされたときには多くの対策を考えます。時には非情な決断も下しました。

ですが、今は環境が違います。完全な売り手有利の状況です。

周囲の企業がこぞって値上げをしています。この波に乗るしかない。従業員にしっかりと還元するために、利益を確保しましょう。

とはいえ、単純な値上げは印象が悪いことは事実。理想を言うと、「付加価値を高めて、その分を値上げ」ができればベストです。御社の製品、サービスでコストを上げずにお客様のベネフィットを高めることを考えてみましょう。

透明化という武器

バイヤーの頃を思い出しましたので、理想的な交渉の仕方についてもお伝えします。これは値上げ交渉されたときのカウンターとして使っていた手です。一言でいうと、

「コスト構造をガラス張りにする」

え??となりますよね。売り手から実施すると、かなり思い切った対応になります。取引先に安心感を与えることで、具体的な交渉を実施するものです。

原料費と加工費に大別するだけ。利益は加工費に入れてしまいます。

  • 「原料費がOO%上がったので、最終価格をXX%上げさせてもらいます」
  • 「そのかわり、原料費が下がったときには最終価格を変更させていただきます」
  • 「利益を維持して、効率化と社員教育に投資します。生産性を高めて加工費が下がれば、最終価格に反映させていただきます。」

あなたが仕入先からこのような提案を受けたら、どのように感じますか?

ただし、これは諸刃の剣でもあります。どの取引先にでも使うのではなく、値上げ交渉が難航したときのカードとして準備しておきましょう。

結論 目をそらさずに段取り八分で行動する

まとめますと、しっかりと原価計算をして利益を確保し、戦略的に価格交渉を行う。

座して待っていては、船が沈みます。やることはたくさんありますね。一つ一つ進めましょう。従業員の幸せのため、社会の活性化のために。

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