先日、商工会議所主催の創業セミナー(基礎編)「はじめの一歩」に登壇させていただきました。
2時間という短い時間に、創業におけるエッセンスを詰め込み、全力でお伝えしました。
参加者の3人に一人はすでにビジネスアイデアをお持ちでした。また、すでにビジネスを営んでいる経営者の方も、新規事業を立ち上げたいとのことで、創業希望者に混ざって参加されていました。
そんな方々にもご自身のビジネスアイデアを吟味していただく場になりました。
創業者向けの内容かと思いきや、このセミナーは強みを発見し、ビジネスの方向性を微調整する機会となります。
安定した経営に考えや感覚が固定化されてしまうと危険。時折、ビジネスを客観的に眺める習慣を持ちたいものです。
客観的にビジネスアイデアを吟味するときに役立つのが、「Will・Can・Must」というシンプルなフレームワークです。
創業時に役立つ「Will・Can・Must」の考え方
ビジネスを始めようとするとき、多くの方がこう思います。
「自分に何ができるんだろう?」
「これって、本当にニーズがあるのか?」
「やりたいことと、できることがズレていないか?」
こうした迷いを整理するのに役立つのが、次の3つの視点です:
- Will(やりたいこと)
情熱を持てるテーマ、自分が「これをやりたい」と思う理由。 - Can(できること)
自分自身の経験やスキル、得意なこと。あるいは仲間とできること。 - Must(求められていること)
お客様や社会から、いま本当に必要とされていること。
この3つが交わる場所に、持続可能なビジネスの核がある。
それを言語化していく作業が、創業においてとても重要なのです。
特に、Mustを重視してお伝えしました。
誰のどんな課題を解決すれば喜ばれるか(=お金を支払っていただけるか)をしっかり考えるところがスタート地点です。
実は「いま、経営している人」にも効く
では、すでにビジネスをしている人にとってはどうでしょうか?
このフレームワークは、創業時だけでなく「現在の事業を見直す」ツールとしても非常に有効です。
たとえば、こんな問いかけをしてみてください。
- Will|いまやっていることは、会社全体で熱意を持って取り組めることか?
- Can|自分たちの強みを活かし、できることに集中できているか?
- Must|お客様の変化、社会の変化に応えられているか?
この3つともを満たすビジネスが最強です。
逆に、これらのどれが欠けてもうまくいかなくなってしまいます。
だからこそ、「いま一度、自分のビジネスをWill・Can・Mustで見つめ直す」。
それだけで、驚くほど視界がクリアになることがあります。
外からの視点が、内側を整えることもある
私が普段お会いする経営者の方々は、みなさんとても多忙です。
そして、たいていの課題は「自分で気づいているけれど、考える余裕がない」ことだったりします。
そんなとき、誰かと一緒に言葉にすることで、
モヤモヤしていた課題が整理されたり、見えていなかった強みが浮かび上がったりすることが少なくありません。
Will・Can・Must は、その会話の土台としても、とてもよく機能します。
おわりに
経営には、正解もマニュアルもありません。
でも、「自分にとっての納得できるかたち」は、いつでも問い直すことができます。
もしも今、「このままでいいのかな?」と感じているなら、
Will・Can・Mustの3つの視点を、そっと心の中で問い直してみてください。
そして、もし一人で整理しきれないときには——
どうぞお気軽にお声がけください。
▽まとめ
- Will・Can・Must は、既存事業にも応用でき、方向性の見直しや強みの再発見に役立つ
- 「やりたいこと・できること・求められること」の交点を意識する
- 疑問や違和感を感じたときは、立ち止まって見つめ直すチャンス

