目標管理制度がうまくいかない。
冬のボーナスの査定を始めている会社も多いことと思います。目標管理制度を導入して、社員の成果に応じて支給額が上下すると言うのは一般的になってきましたね。
そもそも何のために目標管理制度があるのでしょうか?
それとは逆の年功序列制度について考えてみると、そのメリットがよくわかります。
年功序列では年長者の待遇が良いわけですが、年齢を重ねるほどにパフォーマンスが落ちる人も一定割合で存在するはずです。
そうすると、給与が高い年長者はコストパフォーマンスがどんどん低下していきます。
それを見ている優秀な若手のモチベーションはどんどん下がります。
それを避けるための目標管理制度は、できる人に報いる(Pay for performance)と言う原則に基づいて運用されます。
そうすることによって、みんながやる気を向上させる制度なのです。
ところが、うまく運用しないと逆効果になります。
2通りに分かれる社員のタイプ
やる気を失う社員
- 「目標を立てさせられている」
- 「どうせ達成しないんだ」
- 「会社は高く評価したがらない」
目標管理制度でやる気を失う社員は、以下のように考えていることが多いです。
こうなると、できるだけ安全な目標、できたら今の仕事の延長線上でできることばかりを目標にしてしまいます。
特に長年年功序列に親しんできた中高年にこのようなタイプの人が多い印象です。そして最近はニュータイプと呼ばれる若手の世代にもそういう人が増えてきつつあります。
ハックする社員の思考をコピーせよ
ところが中には目標管理制度をうまく乗りこなして、評価を上げてどんどん昇格する社員もいます。
今回は「ハックしている」と表現しましょう。
ここで言うハックとはゲームで言う裏技みたいなものです。私もファミコン世代ですから、隠しコマンドや、隠れキャラを発見する事に喜びを感じていました。それと同じで、ビジネスで言うハックとは、コツを掴んで最小の努力で大きな成果を出すことをいいます。
目標管理制度と言うゲームにもルールがあるわけですから、そのルールの中で「どうハックできるか?」を考えれば良いわけです。
ハックって悪いこと?
- 「ハックなんてけしからん!」
- 「もっとガツガツと、全力で努力してほしい」
そう思う気持ちは、昭和生まれの私ですから痛いほどよくわかります。
でも、ルールはごくごくシンプルです。
自分で立てたゴールに到達すれば高く評価される。(もちろんプロセスも大事)
ハックしているからといって、ゴールに到達しないわけでは無いのです。ゴールにはしっかり到達するんです。
そうであれば、社員がハックしたとしても問題は無いですよね?
- 数少ないエース社員だけが活躍している。ほとんどの社員は輝けない。
- みんなが「ハック」して組織全体のパフォーマンスが上がっている。
ハックには2通りある
ハックといってもいろいろあります。
具体的に見ていきましょう。
悪いハックとは
- 明らかに低すぎる目標を立てている
- 今の活動からほとんど変化せずに達成できてしまう。
- そもそも目標の方向性がずれている
これを読んでどう感じますか?「ただ楽をしよう」と言うずるい考えだとすぐにバレますよね?
良いハックとは
- 会社及び部署の目標からのブレイクダウン、つまり落とし込みがしっかりできている
- 会社及び部署の目標とのベクトルがしっかり合っている
- 難易度が絶妙。たやすくはないが、ちょっと頑張れば到達できそうな絶妙なバランスの難易度である。
いかがでしょうか?
しっかりと目標を立てた上で、モチベーション高くそれを達成して、評価されることによってさらにモチベーションが高まります。
ところが、しっかりと活躍している社員は目標がうまく作れるだけでは無いのです。
達成のためには助走が大事
できる社員は会社の目標ができた時点で、既に動き出しています。まずは仮説を立てて少し行動し、それを検証し始めています。
周囲の人から見るとチャレンジングな目標に感じますが、目標を確定する時点では既に達成確率の高い目標となっているわけです。
つまり、本人にとっては「延長線上」なのです。
コピーしてみんなでハック
「そんなハック、よほどできるやつにしかできないよ」
そうですよね。。
実際、なかなかそんな人材はいないと思います。
ですので、このプロセスを組織の動きにコピーしてしまいましょう。
- 目標をブレイクダウンして課題を見つける(この時点ではまだ仮説)
- 具体的な計画を立ててみる
- 少し手をつけて確かめる(無理なく実行できるか、手ごたえがあるか)
これらをやった後に、目標と計画を確定させればオッケーです。
実際に組織で取り組もうとすると、部下のフォローがきめ細やかに必要になり、上司の方は大変になります。
でも、上司も部下もかなりレベルアップすることでしょう。
みんなで目標を達成して、笑い合えるような組織を作っていきたいですね。