早期発見で組織の手遅れを防ぐ

新型コロナウィルスからの脅威から落ち着きを取り戻しつつある昨今ですが、コロナ前から人口分布的に規定路線であった人材不足がいよいよ本格化してきました。人材は完全なる売り手市場。転職サイトのTVCMを見ることも多くなってきたと思います。それだけこの業界が儲かる要素があるということです。もはや転職が当たり前の世の中になっています。今までとは潮目が完全に変わっている、まさに「ゲームチェンジ」と言えるのではないでしょうか。

人材の流出には2種類

積極的な転職

新しいことにチャレンジしたいという希望を叶えるための転職。これは本人にとってはとても良いことなので、仕方ないともいえます。

消極的な転職

何らかの原因で会社・仕事が嫌いになってしまい、ES(従業員満足度)が低下して会社を辞めてしまう。これは何とかして食い止めたいものです。これの怖いところは、その原因が組織に根強く残るものである場合、連鎖反応的に何人もの退職者出てしまうことです。

目次

もしもエース人材が抜けてしまったら?

想像してみてください。業績が下がります。業務品質が落ちて顧客の信頼を失うからです。その人が2人分、いや3人分の仕事をしていた場合、その業務負荷が他の人にかかります。その負荷に耐えられるでしょうか?他の人も耐えられなくなって退職してしまうという負のスパイラルが起こる可能性があります。

「そのために〇〇をしているから大丈夫」と胸を張って言われる社長さんもおられることと思います。アクションを取る事は非常に大切。ですが、その結果をしっかり検証することも大切です。

私はよく人の事は不可逆と言う表現をします。ミスは取り戻せるかもしれませんが、人が辞めてしまったら、もう二度とその人に活躍してもらうことはできないのです。

まずはモニタリング

どんな組織にも大なり小なり問題があるものです。この問題を人体に例えるなら病巣と呼ぶことができます。どんな病気でも大切なのは早期発見。発見できてこそ、対処(手術)をして、その後の経過観察をすることができるのです。

以下のような流れになります

  1. 早期発見
  2. 対処
  3. 経過観察 1に戻る

1と3を効果的に行うのが定期検診です。多くの企業ではESサーベイ(従業員満足度調査)として毎年行っています。

従業員満足度を測る項目

  • 仕事へのやりがい
  • 仕事の負荷
  • 会社や経営者に対する思い
  • 職場の人間関係
  • 人事制度、報酬、評価について
  • 組織風土や文化に関すること

これらを評価する質問に対して答えてもらい、自由記入のコメント欄にも入力してもらいます。

「うちは普段からコミュニケーションが取れているから、従業員の声は理解しているよ」

こんな声が聞こえてきそうですが、本当にそうなのでしょうか?「

このようなサーベイをやってみると、実はとんでもない問題があったことに気づくことが多いです。経営者の皆さんも気がついていない病巣。早く対処しないと、手遅れになってしまいます。

満足度を正しく把握するポイント

匿名で提出してもらう

これは本音で評価しコメントを出してもらうためです。

できれば部署や年代、役職等でも傾向があるのかどうかを分析したいところです。ところが小さい組織だとそういった属性から、誰が書いたことなのかがすぐにわかってしまう可能性もあります。それに気づくと決して本音は出てきません。ですから組織のサイズによっては分析を諦めるしかないこともあります。とにかく本音で評価してもらうことを重要視しましょう。

不平不満を受け入れるかどうかを決める

組織によっては普段の風通しが悪いため、こういった調査をすると「ここぞ」とばかりに言いたいことを入力されることがあります。それはそれで良いと捉えることもできます。マイナス感情のはけ口となると割り切ってしまいます。

ただ、そういったコメントは印象が強いので、会社全体の傾向を分析してからとるべき対策が、そのようなコメントに引っ張られてしまう可能性があります。

できることならば、他に相談窓口を設けておき、サーベイ前にそちらを案内した方がスムーズです。(ただし、相談窓口は誰もが安心して利用できるように工夫する必要があります。)

サーベイ後の計画を立てておく

サーベイで出た結果をどう分析し、アクションにつなげていくのかを決めておきます。まだ調査結果も出ていない段階ですが、しっかり計画しておかないと初手が遅れます。

  • どのような分析方法を取るか
  • どのように社内にフィードバックするか
  • 誰が対策をリードするか

サーベイは従業員が思いを込めて伝えたものです。伝えたからには会社には誠意をもって応えてほしいと真剣に思っています。なのに、いつまでも何も変わらないと本当にがっかりします。そうなると、次回からはサーベイを行ってもまともに回答してくれません。

想定されるのは、忙しくて分析に手を付けられない、いつまでも結果が出ずにズルズルと時間ばかりが経ってしまうこと。その期間は集中して分析と対策立案が出来るように、具体的にリソースの確保をしておきましょう。


次回もESサーベイについてお届けします。

  • 調査結果をどう分析するか?
  • 自由記入は宝の山
  • クイックアクションで社長の本気を見せる

ESサーベイの重要性を少しでも感じていただけると幸いです。すでに毎年やっていると言う社長さんは、直近のデータを眺めてみてください.。どんなアクションをとって、従業員がどう変わってきたでしょうか?

ESサーベイなんてやったことがないと言う社長さんは、ぜひ今年中に実施することを検討してください。来年の対策を決めるためにも、情報が必要です。組織を変えるには時間がかかるため、とにかく初動を早くすることです。

シンプルな方法で最低限のやり方もありますので、お問い合わせください。ご支援させていただきます。

すでに手遅れでした、と言うことになる前に。

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!
目次
閉じる