この劇薬、薬となるか毒となるか?(薬編)

これまで、人材戦略の基本、時には裏技も含めてご紹介してまいりました。

人材管理のイロハ(茶化)について網羅的に連載していますのでどうぞご覧ください。この記事の最後にもサ・ハ・ホ・イ・ヒの各人材管理に関する記事を引用します。

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ところが、いくら基本に忠実でも、どうやってもうまくいかない場合もありますよね。

また、経営戦略上、じっくり待っていられない場合もあります。

特に今は外部からの人材の採用が非常に困難になってきています。

そのような場合、あなたならどうしますか?

今回のタイトルである劇薬はそんな時の特効薬として使えるソリューションとして提案いたします。ただし、劇薬ですので注意して用いなければ大変危険です。

目次

その劇薬とは

それは、「M&A(企業の買収・合併)」です。

「人材が欲しいので、企業ごと買ってしまおう。」

この考えに至る経営者が実は多いのです。下図のように、M&Aの件数は増加傾向にあります。

M&A件数の推移 2022年度中小企業白書より

しかも、スモールM&A でしたら、機動的に人材獲得を実現することが可能です。 

スモール M & A とは譲渡金額が1億円以下で、売上高が1億円以下、従業員数が10名程度の小規模事業、個人事業を対象としたM&A

今回は薬編。メリットについてお伝えいたします。毒編(デメリット)は次回にお伝えします。

優秀なキーパーソンの獲得

何と言ってもこれが最大のメリットです。

どんな小さな会社でもキーパーソンが必ずいるはずです。(時には代表その人である場合もあります。)

そのようなキーパーソンを獲得できることは、組織にとって非常に大きなメリットがあります。

大きな組織の一般社員と違って、小さな会社のキーパーソンには以下のような特長があります。

マルチタスクをこなせる柔軟性がある

小さな組織では一人一人の責任が大きく、しかもマルチタスクで多くの業務をこなす必要があります。大きな組織で何年もかけてジョブローテーションをしながら育てた人材と同じような経験をしている可能性があります。

  1. マルチタスクをこなせる柔軟性がある
  2. セクショナリズムに陥りにくい
  3. 成長の伸びしろが大きい

セクショナリズムに陥りにくい

セクショナリズムとは、会社全体ではなく自分の部署のことを優先して考えてしまう縦割り思考のことです。小さい組織では職場と職場の距離が近く、コミュニケーションの密度も高いことが多いです。大きな組織で陥りやすい組織の壁を作ることなく、フラットなコミュニケーションを実現できる可能性があります。

成長の伸びしろが大きい

小さな組織では体系的な教育訓練を受けていない可能性が高いです。どちらかと言うと実務重視で経験を積んできているため、理論に根ざした行動をできないことがあります。

しかしこれは逆に言うと、それだけ伸びしろが大きいということ。経験と理論の両方を兼ね備えた人材を手に入れることができるチャンスです。

脱・井の中の蛙

中途採用が少なく流動性が低い組織ですと、特定の考え方に凝り固まってしまうリスクがあります。M&Aで外部からの人材を獲得すると、当然、異なる文化が入ってくることになります。新しい考え方を知ることで、従業員の皆さんの視野が広がります。

また、互いの組織の考え方に刺激を受けて化学反応が起こることを期待できます。

技術・顧客基盤の獲得

通常はM&Aで期待されることがこれです。

技術(開発力、育成力、営業力など)や顧客基盤が属人的であることが多いのも事実。組織を手に入れることで、事業に必要な経営資源を獲得するわけです。

ただし、そのような経営資源を組織の財産として誰もが使えるようにすることが必要ですので、PMI(買収後の2つの会社の統合)が重要になります。


いかがだったでしょうか?

スモール M & Aは組織の戦略上、うまくいけば特効薬となる非常に効果的な打ち手です。

ただし、難しい面があるのも確か。劇薬ですので、注意して用いないと大変危険です。

次回は毒編をお伝えします。意外な落とし穴があるのです。どうぞお楽しみに。

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